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消費税増税時の駆け込み需要を押さえるために、既に26年4月以降、住宅を購入する人向けに住宅ローン控除の拡充が行われていました。
居住開始時期 | 控除期間 | 借入金の年末残高 | 控除率 | 年間控除限度額 |
---|---|---|---|---|
平成26年1月〜3月 (消費増税前) | 10年間 | 2,000万円以下の部分 | 1% | 20万円 |
平成26年4月〜 平成29年12月 (消費増税後) | 10年間 | 4,000万円以下の部分 | 1% | 40万円 |
ただ住宅ローンを2,000万円以上借りる人や、あくまで控除できるのは納めた所得税(一部住民税)の金額が限度のため、年間控除額が40万円で最大400万円まで控除できますよ、と言われてもピンとこないでしょう。
実際、消費税の増税前に買うか、それとも増税後に買うかの有利不利の計算をするためには、家族構成や年収、住宅ローンの金額、購入物件の価格を全て考慮に入れてシミュレーションする必要があります。税理士でも手間のかかる計算です。
それだったら消費税が上がる前に購入しようというのが理解しやすいですし、販売をする営業も話やすいのではないでしょうか。事実、首都圏のマンション販売は前年同期比49%増と好調のようです。
そんななか、今年の税制改正の際から検討されていた、住宅ローン控除の恩恵があまりない人向けの現金給付制度が発表されました。
年収 | 給付額 | |
---|---|---|
消費税8%時 (平成26年4月〜平成27年9月) | 425万円以下 | 30万円 |
425万円超〜475万円以下 | 20万円 | |
475万円超〜510万円以下 | 10万円 | |
消費税10%時 (平成27年10月〜平成29年12月) | 450万円以下 | 50万円 |
450万円超〜525万円以下 | 40万円 | |
525万円超〜600万円以下 | 30万円 | |
600万円超〜675万円以下 | 20万円 | |
675万円超〜775万円以下 | 10万円 |
ただでさえ複雑な有利不利判定に、現金給付まで加わるとシミュレーションはさらに難しくなります。
そこである家族の例をもとに消費増税前後のシミュレーションをしてみたいと思います。
福岡市近郊での建売住宅の購入を検討している家族を想定しました。5%のうちに購入した方が良いか、8%に上がってから購入した方が良いか相談を受けたという状況です。
家族構成 | 夫(会社員)・妻(専業主婦)・子(5歳、3歳) |
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年収 | 給与収入400万円(10年間同じと仮定) |
購入物件 | 土地1,200万円 建物1,800万円 |
自己資金 | 500万円 |
住宅ローン | 2,500万円(10年固定、金利1.8%) |
消費税(5%) | 消費税(8%) | メリット差額 | |
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消費税増税差額 | − | ▲54万円 | ▲54万円 |
住宅ローン控除累計額(10年間) | 133万円 | 159万円 | +26万円 |
現金給付 | − | 30万円 | +30万円 |
メリット合計 | 133万円 | 135万円 | +2万円 |
結果として今回のシミュレーションでは、増税前と増税後とでは消費税の金額は54万円も増加するもののトータルでは増税前後で有利不利は2万円とほとんど変わらないということがわかります。
こうしてみると今回の案は消費増税は駆込み需要を防ぐためには結構効果がありそうです。
政府としては、8%の後は10%への引き上げを行う決意なわけですから、下手に駆込み需要を作ってその反動で消費が落ち込んで景気が悪化し、10%への引き上げを実施できないのは避けたいのでしょう。
2013/6/30